住宅ローンは今、固定金利一択の理由とは?

私はファイナンシャルプランナーとして独立してから、個人のお客様からのご相談で一番多いのが住宅ローン、住宅資金についてのご相談です。

ほとんどの人が変動金利を選ばれていて、実際この20年くらいは結果としてそのほうがよかったといえるでしょう。

ただ、ファイナンシャルプランナーとしての私のスタンスは違っていて、長期に渡る返済においては金利上昇リスクも念頭に置いてフラット35など固定金利のローンも視野に入れるべきだと思ってきました。

ですから、住宅ローンにおける固定金利か変動金利かの選択については

  • 借りる金額が多く、長期の返済であれば固定金利を中心に検討
  • 借りる金額が少なくて返済が短期ですむなら変動金利でも問題ない

とアドバイスしてきました。
ところが、2018年の現在、上記のどちらの場合でも固定金利型を中心にお勧めするようになりました。

マイナス金利後に固定金利と変動金利の金利差が大幅に縮小

ご存知のように日本銀行の2016年1月のマイナス金利政策により、住宅ローン金利も大きく下がることになりました。

ここで注意すべきなのは金利の下がり幅です。

変動金利と固定金利は同じように下がったわけではありません。

三井住友銀行の住宅ローン金利で比較してみます。

同行の2008年12月の変動金利は2.675%、2018年5月の変動金利は2.475%です。

これに対し、同行の超長期固定金利20年超35年以内は2008年12月で3.04%、2018年5月で1.73%です。

同じ期間での変動金利と固定金利の変動が、変動金利0.2%に対し、固定金利は1.31%と固定金利の縮小幅が大きいことがわかります。

店頭での変動金利はさまざまな優遇があり、同行で実際に適用されている金利は2018年5月で0.775%です。

そこで、同行の2008年12月の変動金利を0.975%とすると、固定金利と変動金利の金利差は2008年12月で2.065%、2018年5月で0.955%とかなり縮小しています。

つまり、今は変動金利と固定金利の金利差が劇的に縮小していて、固定金利型を借りるほうが相対的に有利な時期といえます。

金利が上昇してから固定金利に借り換えも可能ですが

そうはいっても、当初の返済額はできるだけ少ないほうがいいという人もいると思います。

もし、収入の多い共働き家庭などで短期間での返済ができる場合は、変動金利の固定金利選択型10年なども選択肢にしてもいいでしょう。

けれども、長期的な金利上昇リスクを無視したシュミレーションは危険です。

金利が上昇してからでもフラット35は借りる人の属性があまり問われないため、借り換えが可能でしょう。

ただし、その時には固定金利型の金利も相当に上がっていることを想定しておいてください。

今の金利状況では、今後、長期的に金利が上昇しないと言い切らない限り、固定金利を選ぶことが合理的です。


ファイナンシャルプランナー
松田 聡子