マジメな人ほど陥りがちなお金の優先順位の間違いとは?

人生の三大資金といえば、「住宅ローン・教育費・老後資金」(子どものいない人なら「住宅ローン・老後資金の」二大資金)ですね。

大きく分けてローンの返済と貯蓄ですが、30代・40代ならこれらを同時進行させることがほとんどですね。

その場合に、何を優先してどの順番でお金を準備すればいいのでしょうか。

今回は、基本的な考え方をお伝えします。

今までの基本は住宅ローンの返済が最優先でしたが・・・。

ファイナンシャルプランナー業界のセオリーとして資金活用の最優先は住宅ローンの返済でした。

余裕資金を返済に回して借入残高を減らせば利息の負担を減らせるからですね。

早期に繰上返済をすることによって元本が減ると支払う利息の総額も少なくなります。

ところが、現在の住宅ローンの金利はこれ以上下がりようがないほど低いですね。

変動金利なら1%を切っています。

もし、手元の資金を返済に回さず1%以上で運用することができたら、そちらのほうがお金の有効活用になりますよね。

また、住宅ローン控除を受けている期間はケースによっては利息分以上に税金が戻ってくることもあり、無理に返済を進めなくてもいいといえます。

住宅ローン控除は、当初10年間、住宅ローン残高の1%を上限に納めた所得税を(住民税の一部も)控除するというものです。

実際に控除される金額はその人の所得税の税率など条件によって変わってくるのできちんと計算してみることをお勧めします。

また、会社やお住いの自治体などでの住宅ローンの利子補給制度が利用できる場合もあるので、やはり無理な返済はしなくてもよさそうですね。

もちろん、金利が上昇した場合は、繰上返済を優先すべきですが、現状は定年までに返済を終えられるように計画し、あとは貯蓄優先でというのが基本になります。

借金はイヤ、一日も早く返したい!というマジメな方も現状の低金利に合ったお金の活用を考えてみてください。

教育資金はこう貯める

住宅資金を最優先にしないとなると、子育て世代の方の最優先は教育費です。

教育費のうち、もっとも費用がかかるのは大学の学費です。

大学の入学、在学費用に関しては、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」(平成29年度)によると、国公立大学の場合で合計約503万円、私立大学文系の場合で約738万円、私立大学理系の場合で、平均約807万円とのデータがあります。

この資金の準備には子どもひとりあたり毎月1万円プラス児童手当を貯めていきましょう。

ただし、準備のために学資保険を活用したとすると毎月2万円の掛金なら18歳までに貯められる金額はだいたい450万円ほどです。

これに対し、年6%の複利で運用した場合は18歳で約740万円準備できます。

教育資金の準備なら保険機能も兼ね備えた変額保険も選択肢の一つだと思います。

もちろんリスクはありますが、子どもが生まれた時から加入すれば18年と長期の運用になりますから、セオリーに従えば効率よく増やすことができますよ。

老後資金の準備はiDeCo(イデコ)がおトク

では、老後資金はいつ、どのように準備したらいいでしょうか。

老後資金準備で有利なのはやはりiDeCoです。

iDeCoは加入者が毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託といった金融商品で自分で運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取る制度です。

iDeCoの最大のメリットは積立金額すべて「所得控除」の対象で、所得税・住民税が節税できることです。

さらにiDeCoに用意された投資信託で増やす運用をすれば、効率的に老後資金を準備することができます。

ただし、60歳まで引き出すことができません。

ですから、ぜひ利用すべき制度ですが、お子さんの教育が終わるまでは最低限の掛金で加入することをお勧めします。

お子さんが独立してからは人生最大の貯めどきです。

ここから定年までのがんばりが老後の生活を左右しますので、可能な限り積立てを増やしてくださいね。

独身の方は日ごろから老後のためにできる限りの積立てをしていきましょう。

教育資金や老後資金の効率の良い準備方法はこちらからどうぞ。


ファイナンシャルプランナー
松田 聡子