老後資金の準備といえば個人年金しかないのか?

高まる個人年金への関心

ここ数年、公的年金への不安から「個人年金に入りたい」というご相談をよく受けます。
また、退職金で一時払いの終身保険に加入する方も多いですね。銀行などで勧められるのですね。

個人年金、終身保険など貯蓄性のある保険商品は預貯金より有利というイメージとリスクのある商品に比べて安心感があるのが支持される理由でしょうね。
実際、国内生保などではかなりの高利率の商品が売られていました。

毎月の収入をやりくりして余ったお金を老後のために貯金するのは大変なことです。
よほど強い意志がないと無理だと思います。

そこで挫折するのを防ぐためには、ムリなくお金を貯める仕組みづくりが必要になってきます。
その仕組みとして、毎月保険料が引き落とされる個人年金などの保険商品は適していると思います。

超低金利で下がる予定利率

ところが、超低金利が続く中で運用難に苦しむ保険会社は相次いで予定利率の引き下げに踏み切っています。
また、売り止めになった商品も多く見られます。

それに対して、消費者の反応はさほどでもないように思います。
もともと個人年金のパフォーマンスを気にしていた人があまりいなかったからでしょうか。
保険商品は利率でなく返戻率をパフォーマンスの物差しにするので預金商品などと比較しにくいですね。

ですが、予定利率の引き下げはこれら保険商品の魅力を確実にダウンさせるものです。
利回りで比較すれば、預貯金と大差なくなっていることがわかるはずです。

ほとんどの商品は満期まで解約しなければ払い込んだ保険料の総額より多くのお金が戻ります。
けれども、積立期間はおおむね10年以上の長期にわたります。
この間に解約すればほとんどの場合は元本割れするでしょう。

ところで、今の低金利はもう下がないという、どん底です。
ですから、長い間には金利が上がってきて、もっと魅力的な商品が出てくる可能性もあります
そちらに乗り換えたくなったとしても今までの保険商品を解約すると、そう、元本割れするのでしたね。

というわけで、私は個人年金などの保険商品での老後資金準備はお勧めしないのです。
老後資金準備は絶対にしたほうがいいと思いますが、方法は個人年金しかないわけではないですから。

では、老後資金準備はどんな方法でするのがいいのでしょうか?
それはまた別の記事で書きますね。

ファイナンシャルプランナー
松田 聡子